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前半は不倫相手の子を誘拐し逃亡生活を続ける中にも母?としての子育てに希望を持った女性の観点から、後半はその女性に育てられた子の観点と言う展開です。ダメ男と、そんな男を見限れないどうしょうもない女性だけれど、とても強い女性達の深い深い波乱に満ちた人生模様に感動しました。「三つ子の魂百まで」なんて諺をふと思い出したけれど、人格の基本的なところは3歳まで(つまり、自我が芽生え、言葉が操れるようになるまで)の、非言語的な母子のかかわりや受けた養育の質によって決まるという考え方も、生まれてきてよかった、世界は信頼できる、という基本的な安定感は、言葉“以前”の段階ですでに培われていて生涯続くのだと。だからしっかり甘えさせてあげる必要がある、という子育て観は「3歳まではわが子を自分の手で育てたい」と願う若い女性のなかには、この考え方が深く根づいているのではないかというある専門家の解釈にもこの小説を読むと頷ける内容だった。母性本能を刺激される、そしてこの女性達の幸せを願わずにはいられない記憶に残るお話でした。